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よくある質問: Blog2

SMDC 2025年度通期決算:グループ業績は好調、コンドの勢いは鈍化――2026年に向けた開発業者の6つのシグナル

  • bedandgoinc
  • 2月27日
  • 読了時間: 7分

February 27, 2026


SMDCの2025年度通期業績(SM Primeの「Residences」セグメント内で報告)は、マス向けコンドミニアム事業が2026年に向けてどのようなポジションにあったのかを、デベロッパー視点で明確に読み解ける内容です。そして、実行面の優先順位が、吸収(販売消化)力、商品規律、キャッシュフローの強靭性へと一段と移っている理由も示しています。


デベロッパーの立場で見たFY2025の最も有用なポイントは、単なる売上規模(トップライン)ではありません。2025年を通じて、購入可能性(アフォーダビリティ)の制約や買い手の選別姿勢が四半期ごとに大きく変化する中で、これらの数字が「需要の質」「発売(ローンチ)のペース」「利益率(マージン)の防衛」について何を示唆しているか、という点にあります。 (SM Prime)



FY2025スナップショット:「Residences」指標が示す事業の実態


SM Primeのレジデンス(住宅)セグメントでは、以下の実績が記録されました。

  • 売上高: ₱42.520B (FY2025) (SM Prime)

  • EBIT: ₱16.479B (FY2025) (SM Prime)

  • EBITDA: ₱16.771B (FY2025) (SM Prime)

  • 予約販売(Reservation Sales): ₱48.918B (FY2025) (SM Prime)


また連結ベースでは、SM Primeは2025年の純利益₱48.8B、連結売上高₱141.1Bを計上しました。これは、住宅事業の実行が、モール・オフィス・ホテルなどグループ全体の商業事業の好調さと並行して進んでいたことを裏付けるものであり、デベロッパーが資本配分やリスク配分を判断する上で重要な背景情報となります。 (Business World)


1) 予約販売は依然として計上売上を上回るが、差は縮小――より慎重なパイプラインを示唆


FY2025におけるデベロッパー視点の重要シグナルの一つが、予約販売(₱48.918B)と、住宅セグメントの計上売上(₱42.520B)の差です。


FY2024はこの差がより大きかったのに対し、FY2025では差が縮小しています。この「縮まったギャップ」は、派手なローンチ件数よりも、パイプラインの補充と“予約→売上”への転換(コンバージョン)の確度がより重視される市場になっていることを示します。


その結果、以下の点により強いプレッシャーがかかります。

  • 建設の進捗テンポ(施工ペース)と引渡しの規律

  • 解約(キャンセル)の管理強化(予約販売を確実に売上へつなげるため)


デベロッパーへの示唆: 許認可 → 建設 → 引渡しまでの実行ルートが明確で、遅延や不確実性が少ない案件を優先し、キャンセル動向の監視と抑制を一段と強化すべきです。なぜなら「需要」は、入金(回収)と引渡しが崩れずに進んで初めて、利益として実現するからです。


2) 2025年は収益性が低下――2026年はマージン管理の重要性が一段と高まる

FY2025の住宅セグメントは、EBITが₱16.479B、EBITDAが₱16.771Bと、収益性自体は依然として十分な水準を維持しました。しかしFY2024と比較すると低下しており、2026年に向けてより厳格なマージン(利益率)ガバナンスが必要であることを示しています。


買い手がRFO(即入居可能物件)、中古(リセール)、そして新規分譲(新規ローンチ)をこれまで以上にシビアに比較する市場では、価格決定力はエリアの細かな立地条件や商品タイプによって大きくばらつきます。結果として、同じ価格戦略を広範囲に当てはめても効果が出にくくなります。


デベロッパーへの示唆:マージン防衛の軸は次の3点に移ります。

  • より賢いプロジェクトミックス(“予算に合う”間取り・価格帯の強化)

  • 価値工学(バリューエンジニアリング)の精度向上(コスト最適化と価値訴求の両立)

  • 自己都合の供給過多を避けるローンチペース設計(無理な投入で吸収を崩さない)


3) 2025年の買い手の選別は一様ではなかった――価格シグナルは四半期ごとに大きく反転


BSP(フィリピン中央銀行)の住宅不動産価格指数(RPPI)は、2025年に価格モメンタムがどれほど速く変化したかを示しました。

  • 2025年Q1: フィリピン全体 前年比 +7.6%, 前期比 +2.6%

  • 2025年Q2: フィリピン全体 前年比 +7.5%, 前期比 +4.2%※ただし NCR(首都圏)は前期比マイナスの一方で、AONCR(首都圏以外)は加速

  • 2025年Q3: フィリピン全体 前年比 +1.9%, 前期比 -3.8%2019年Q1の統計開始以来、最大の前期比下落


デベロッパーにとって、このような変動(ボラティリティ)が重要なのは、次の要素が四半期ごとに変わってしまうからです。

  • 買い手の緊急度(「今買うべきか」の心理)

  • 評価額(アプレイザル)の期待値(銀行査定・資産価値の見方)

  • 販促(プロモ)が効く局面か、値下げの方が効く局面か(プロモ優位か、純粋な価格調整が必要か)


デベロッパーへの示唆: 価格動向が不均一な環境では、「一つの戦略を全体に当てはめる」やり方は通用しません。都市全体の平均値ではなく、サブマーケット(エリア×商品タイプ)単位での吸収率(販売消化)の追跡こそが、実務上の意思決定を左右する本当の判断ツールになります。


4) 事業の軸足は「供給量(ローンチ数)」ではなく、「吸収(販売消化)最優先」の計画へ


FY2025の結果は、予約販売が前年比で弱含む局面において、好調なデベロッパーほど新規供給を増やす前に、売り切り(sell-through)と引渡しの規律を優先している市場環境を示しています。新しい在庫を市場に大量投入するよりも、既存パイプラインの消化と確実なデリバリーが成果を左右する局面です。


方向性のロジックはシンプルです。買い手の選別が強まり、価格モメンタムが四半期ごとに振れやすい状況では、吸収(販売消化)こそが、利益率(マージン)とキャッシュ回収(キャッシュ・コンバージョン)の両方を守る主要KPIになります。

デベロッパーへの示唆: 土地投入(land deployment)は、次の条件を満たすプロジェク


トに集中させるべきです。

  • 交通接続性(主要道路・公共交通へのアクセス)

  • エンドユーザーの実用性(職場へのアクセス+日常の利便施設)

  • 月次の支払い可能額(アフォーダビリティ)に合う、再現性の高い間取り・商品設計


5) 実行面での優位性は依然「エコシステム活用」から生まれた――“コンド単体”発想ではない


SM Primeが2025年に示したグループ全体の収益力は、住宅デベロッパーにとって重要な意味を持ちます。なぜなら、それが以下を支えるからです。

  • より強いブランド集客(トラフィック)

  • 統合型タウンシップによる相乗効果

  • 市況の転換期における資本の柔軟性(投資・資金配分の余力)


デベロッパーへの示唆: 実績ある商業エコシステム(モール・オフィス等)に組み込まれたプロジェクトは、次の点で優位になりやすい傾向があります。

  • 人流(フットトラフィック)に支えられた賃貸需要

  • 中古(リセール)市場での流動性の高さ

  • 買い手の信頼感の持続(購入心理の安定)


6) FY2025は、2026年に向けた最も実務的な戦略を示した:商品×市場の適合(PMF)+引渡しの確実性


2025年末時点で、今後のデベロッパー戦略として最も理にかなっていたのは、「夢を売る」ことよりも、予算に合った(fit-for-budget)住宅を、確実な引渡しスケジュールで提供することでした。特にRPPIの勢いがQ3にかけて大きく鈍化した局面では、買い手はストーリーよりも“確度”を重視しやすくなります。


デベロッパーへの示唆: 2026年に勝ちやすいのは、次の両方の視点で「審査しやすい(underwriteしやすい)」プロジェクトです。

  • エンドユーザー向け: 支払いの無理がない(payment comfort)+暮らしやすさ(livability)

  • 投資家向け: 賃貸に回しやすい(rentability)+空室リスクが管理可能(manageable vacancy risk)


クロージング展望:FY2025が次のサイクルについてデベロッパーに示すこと


SMDCのFY2025の数値は、₱42.520Bの売上高と₱48.918Bの予約販売に支えられた「規模のある住宅プラットフォーム」を改めて示しました。一方で、市場環境はより一層、強気な拡大よりも規律ある実行力を評価する方向へ移っています。


2026年に向けた最も強いデベロッパー戦略は明確です。吸収(販売消化)が見込める場所に建て、ローンチは抑制的に行い、商品設計の工夫でマージンを守り、引渡しの確実性を“競争優位”として位置づけること。引渡しはバックオフィス業務ではなく、差別化要素として扱うべきです。


出典

  1. SM Prime Holdings – 4Q/FY 2025 Investor Briefing Deck (includes FY2024 “Residences” segment tables): https://www.smprime.com/wp-content/uploads/2026/02/4Q_FY2025_IR-Deck_FINAL16Feb2026_FINAL.pdf (SM Prime)

  2. Bangko Sentral ng Pilipinas (BSP) – Residential real estate prices decline in Q3 2024 (RREPI release): https://www.bsp.gov.ph/SitePages/MediaAndResearch/MediaDisp.aspx?ItemId=7382 (Bureau of the Treasury)

  3. BSP – Residential real estate prices rise in Q4 2024 (RREPI release): https://www.bsp.gov.ph/SitePages/MediaAndResearch/MediaDisp.aspx?ItemId=7461 (Bureau of the Treasury)

  4. BusinessWorld – SM Prime profit up 14% to ₱45.6B in 2024 (context on consolidated results): https://www.bworldonline.com/corporate/2025/02/18/653865/sm-prime-profit-up-14-to-p45-6b-in-2024-driven-by-new-malls-strong-holiday-sales/ (Business World)

  5. Inquirer Business – SM Prime earnings reach record ₱45.6B (context on consolidated results): https://business.inquirer.net/506919/sm-prime-earnings-reach-record-p45-6b (Inquirer Business)


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