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よくある質問: Blog2

進化するフィリピン商業用不動産市場:2025年の展望

  • bedandgoinc
  • 7月12日
  • 読了時間: 6分

Date: July 12,2025


フィリピンの商業用不動産(CRE)市場は、オフィスビル、小売スペース、物流ハブ、産業団地を含む、同国経済の重要な柱であり続けています。世界的な混乱やパンデミックによる不確実性の時期を経ても、この分野は着実な回復の兆しを見せており、投資家の信頼回復、REIT(不動産投資信託)の拡大、インフラ整備の進展がその原動力となっています。


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1. フィリピン商業用不動産の主要市場トレンド


商業用不動産セクターは、企業活動の再開と投資家の関心回復により再び勢いを取り戻しています。コリアーズのレポートによれば、2025年初頭の時点でメトロマニラのオフィス供給総面積は1,300万平方メートルを超え、その新規供給はBGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)、マカティ、ベイエリアに集中しています。


  • オフィスセクター:需要はゆるやかに安定しつつあります。ハイブリッド勤務がスペースの総需要を抑える一方で、「質への移行(フライト・トゥ・クオリティ)」が顕著になっています。テナントは、LEED認証を受けた柔軟性のある好立地の建物を好む傾向にあります。

  • 小売スペース:伝統的なショッピングモールは、エンタメ施設、コワーキングスペース、飲食テナントを取り入れたライフスタイル型施設へと再構築されつつあります。これにより、eコマースの台頭の中でも集客力の維持を図っています。

  • 工業・物流セクター:今、最も注目すべき分野です。eコマースの急成長とサプライチェーンの国内回帰により、港湾や主要高速道路近くの倉庫・物流拠点への需要が急増しています。


アヤラランド、SMプライム、メガワールド、ロビンソンズランドといった大手デベロッパーが市場を牽引しており、AREIT、RLコマーシャルREIT、MREITなどの新興REIT企業も安定的な収益資産への投資手段として注目を集めています。


2. パンデミックがフィリピン商業用不動産市場に与えた持続的な影響


新型コロナウイルス(COVID-19)はフィリピンの商業用不動産(CRE)市場の構造を大きく変えましたが、業界は迅速な適応を見せ、その回復力の強さが際立っています。


  • オフィス需要の再編成:2021年に空室率が17%を超えるピークを迎えたものの、2025年第1四半期には12%未満に改善。ハイブリッド勤務が主流となる中、BPO、法律事務所、金融サービス業などは主要CBDでの再拡大を進めています。

  • 小売の回復:都市部のモールでは、来客数がパンデミック前の水準に近づいており、特に複合用途施設として再構築された施設で顕著です。

  • 倉庫ニーズの急増:パンデミック期間中に物流不動産が急成長し、現在も勢いは継続。土地が比較的安価なカビテ、ブラカン、ラグナでは物流施設の需要が高まり続けています。


グレードAのオフィススペースの賃料はやや下落したものの、最上級ビルでは安定しつつあります。一方で、需要と供給の不均衡により、産業用不動産の賃料は引き続き上昇傾向にあります。


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3. セクターの成長を後押しする政府の政策


フィリピン政府は商業用不動産(CRE)の成長を支援するため、インフラ整備と規制改革を加速しています:


  • REITの拡大:2020年に改正されたREIT法と最新の税制ガイドラインにより、複数のREIT上場が促進されました。これにより、デベロッパーは資金調達と流動性の確保が可能となり、一般投資家も商業用不動産(CRE)市場にアクセスできるようになりました。

  • Build, Better, Moreプログラム:旧「Build, Build, Build」から進化したこのインフラ整備プログラムは、メトロマニラおよび主要地方都市との接続性を強化し、土地価値や商業性の向上に貢献しています。

  • 投資優遇措置:フィリピン投資委員会(BOI)やフィリピン経済特区庁(PEZA)は、物流施設、ITパーク、グリーン認証開発プロジェクトに対して引き続き税制優遇などのインセンティブを提供しています。


これらの政策はまた、許認可手続きの簡素化や不動産所有権の透明性向上にも重点を置いており、これらは外国人投資家を惹きつけるための重要な要素となっています。


4. フィリピン商業用不動産関係者にとっての課題と機会


資金調達の制約


  • 特にメトロマニラ以外の投機的な商業開発において、融資の獲得は依然として困難な状況が続いています。

  • 一部セグメントでの高い空室率:老朽化した物件やPEZA(フィリピン経済特区庁)認証のない建物では、テナントの入れ替わりが激しく、空室期間も長期化する傾向にあります。

  • 複雑な規制環境:改善は見られるものの、用途地域制限、地方自治体の許認可、税務コンプライアンスなどの手続きは依然として煩雑で、時間を要します。


産業用不動産の拡大


  • 急成長するeコマース業界により、倉庫、冷蔵施設、ラストマイル配送拠点などの需要が急増しています。

  • 柔軟かつ環境配慮型オフィスの需要増:テナントは、最新設備を備えた環境に優しいスマートオフィスに対して、プレミアム賃料を支払う意欲があります。

  • REIT市場への参加機会:個人投資家も、配当収入を得られるREIT(不動産投資信託)を通じて商業用不動産市場に参入できるようになり、市場の流動性と厚みが増しています。


住宅、商業、ライフスタイル要素を統合した革新的な複合用途型タウンシップが、特にメトロマニラ以外の地域で注目を集め、支持を広げています。


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5. 投資家とデベロッパーのための戦略的考察


今日の進化する商業用不動産(CRE)市場で成功を収めるために、関係者は以下の戦略を検討すべきです:


  • 成長分野に注力する:物流施設、グリーンビルディング、交通結節点に近い開発(TOD:Transit-Oriented Development)といった高成長セクターを優先的に狙うことが重要です。

  • パートナーシップの構築:経験豊富なローカル企業との協業は、資金リスクの軽減や複雑な法規制の遵守を円滑に進める上で有効です。

  • ESGの導入:環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮した建物は、テナントの支持を集めるだけでなく、機関投資家やREITからの評価も高まります。

  • テクノロジーの活用:資産管理、テナント対応、データ分析においてプロップテック(不動産テクノロジー)を活用することで、効率性とパフォーマンスの向上が期待できます。


市場の変化に投資戦略を適切に合わせることで、関係者は業界の一歩先を行くポジションを確保できます。


フィリピンの商業用不動産市場は、着実に次の成長フェーズへと進んでいます。パンデミック後の再調整、堅調なインフラ支援、REITの発展、そして物流やハイブリッド型小売への持続的な需要が、この分野の構造を再定義しています。


空室率、資金調達、規制といった課題が依然として存在する一方で、倉庫施設、環境配慮型オフィス、複合用途スペースといった分野には大きなチャンスが広がっています。戦略的なアプローチ、強固なパートナーシップ、そして将来を見据えた視点を持つことで、投資家や開発業者は、東南アジアで最も有望な不動産市場の一つであるフィリピンで、長期的な価値を創出できるでしょう。


出典:

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