フィリピンと日本の不動産:プロパティマネジメントにおける7つの主な違い
賃貸物件の管理方法は、各国の規制、住宅事情、テナントの期待、そして市場環境によって大きく異なります。
フィリピンと日本には、どちらにも活発な賃貸不動産市場がありますが、物件の賃貸方法、メンテナンス、書類管理、そして専門的なプロパティマネジメントの進め方には大きな違いがあります。
オーナー、投資家、テナント、そして海外から物件を所有する方にとって、こうした違いを理解しておくことは、それぞれの市場に合った管理方法を選び、期待値を適切に設定するうえで重要です。
この記事では、フィリピンと日本の不動産におけるプロパティマネジメントの違いを、管理体制、賃貸契約、家具、メンテナンス、家賃管理、テナント対応、市場環境の7つの観点から比較します。

1. フィリピンと日本のプロパティマネジメント体制
フィリピン
フィリピンの賃貸管理は、オーナー自身による直接管理から、専門会社による第三者管理まで幅があります。
コンドミニアムのオーナーによっては、自分でテナント対応を行ったり、ブローカー、建物スタッフ、管理人、代理人などに、内覧、修理、家賃回収、テナント対応を任せる場合があります。
より専門的に管理されている物件では、プロパティマネジメント会社が以下のような業務を担当します。
テナントとの連絡
家賃回収
修理・メンテナンス
物件点検
契約更新
入居・退去対応
オーナーへの報告
フィリピン民法では、賃貸契約で別途合意がない限り、貸主は物件を本来の使用目的に適した状態に維持し、必要な修繕を行う責任を負うのが基本です。
日本
日本では、賃貸管理がより制度化・標準化されています。
専門の賃貸住宅管理会社がオーナーに代わって物件を管理するケースが多く、賃貸住宅管理業法により、一定の事業者には登録や管理業務に関するルールが定められています。
登録された管理会社には、状況に応じて以下のような対応が求められます。
適切な管理人材の配置
契約前の管理内容の説明
一部資金の分別管理
管理状況の記録
オーナーへの管理報告
主な違い:日本では専門的な賃貸住宅管理に関する制度がより標準化されています。一方、フィリピンでは、オーナー、建物、サービス会社によって管理体制が大きく異なる場合があります。

2. 賃貸契約の管理と書類手続き
フィリピン
フィリピンの賃貸契約は、主に賃貸契約書、民法の関連規定、そして対象となる低家賃住宅の場合は家賃規制のルールによって管理されます。
民法では、貸主・借主双方の基本的な責任として、以下のような内容が定められています。
物件の維持
家賃の支払い
契約上認められた使用方法
借主が物件を平穏に使用できること
また、一定条件を満たす月額**₱10,000以下**の住宅については、2025年〜2026年の期間も家賃規制の対象となっています。
一方、メトロマニラの高級コンドミニアムなどでは、契約条件は主に賃貸契約書、建物ルール、オーナーとテナント間の交渉によって決まります。
日本
日本では、専門の管理会社が関与する場合、賃貸契約の管理はより標準化されている傾向があります。
管理会社が対応する業務には、以下が含まれることがあります。
入居者審査
契約締結
家賃回収
契約更新
クレーム対応
入居・退去対応
敷金精算
原状回復
日本では、苦情対応、敷金精算、原状回復、契約更新なども、管理会社が行う代表的な業務のひとつです。
主な違い:日本では、専門管理会社が関与することで賃貸契約管理がより標準化される傾向があります。フィリピンでは、オーナー、ブローカー、管理会社、契約内容によって手続きが異なる場合があります。

3. 家具付き物件と入居時の期待
フィリピン
Makati、BGC、Ortigas、Bay Areaなどのビジネスエリアでは、家具付き・半家具付きのコンドミニアムが比較的多く、特に外国人、法人契約テナント、短期〜中期滞在者向けに提供されています。
家具付き物件の場合、管理対象は建物そのものだけではなく、室内設備にも広がります。
例えば、
エアコン
冷蔵庫
洗濯機
ベッド・マットレス
家具
カーテン
キッチン家電
照明器具
などです。
そのため、家具付き物件では、オーナーや管理会社が対応するメンテナンス項目も増える傾向があります。
日本
日本の一般的な長期賃貸住宅では、家具なしで貸し出される物件が多くあります。
家具や家電はテナント自身が用意するケースが一般的ですが、家具付きマンション、サービスアパートメント、短期賃貸なども存在します。
標準的な長期賃貸では、オーナーが提供する家具・家電が少ないため、建物や設備の修繕と、テナント所有物の管理責任を分けやすい傾向があります。
主な違い:メトロマニラでは、特に外国人や法人向けに家具付き・半家具付きのコンドミニアムが一般的です。一方、日本の一般的な長期賃貸では、家具なし物件がより多く見られます。

4. メンテナンスと修理管理
フィリピン
フィリピンでは、物件や建物によってメンテナンス品質に差があります。
よく発生する管理項目には、以下があります。
エアコン清掃・修理
配管修理
水漏れ
家電修理
電気設備の不具合
害虫対策
家具交換
コンドミニアム管理事務所との調整
フィリピン民法では、契約に別段の定めがない限り、物件を本来の使用目的に適した状態に維持するための必要な修繕は、原則として貸主側の責任となります。
コンドミニアムの場合、オーナーは問題を次の2つに分けて考える必要があります。
室内の問題
家電
家具
室内配管
エアコン
内装修理
建物側の問題
エレベーター
共用設備
セキュリティ
共用施設
建物全体の設備
日本
日本では、専門の管理会社がメンテナンスやテナントからの問い合わせ・クレームをまとめて対応するケースが多くあります。
賃貸住宅管理の仕組みでは、建物や設備の維持・保全も、家賃・敷金管理と同様に重要な管理業務として位置づけられています。
そのため、専門管理会社が関与している物件では、修理責任や対応状況を記録・追跡しやすい傾向があります。
主な違い:両国ともメンテナンスは重要ですが、日本では専門管理会社を通じて修理責任や報告体制がより明確に整理されているケースが多くあります。

5. 家賃回収と財務管理
フィリピン
フィリピンでは、家賃の支払い方法や回収方法は、オーナーや管理体制によって異なります。
主な支払い方法には、
銀行振込
Post-Dated Check
オンライン送金
管理会社経由
オーナーの代理人経由
などがあります。
また、オーナーは家賃以外にも以下を管理する必要があります。
Association Dues
固定資産税
修理費
保険
必要に応じた光熱費
プロパティマネジメント費用
特に海外在住オーナーにとっては、専門管理会社を利用することで、これらの支払い・報告をまとめて管理しやすくなります。
日本
日本では、財務管理がプロパティマネジメント業務の中に組み込まれていることが一般的です。
管理会社が対応する内容には、
家賃回収
滞納対応
オーナーへの送金
敷金管理
経費報告
などがあります。
登録された管理会社は、一部の資金について適切な分別管理を求められる場合もあります。
主な違い:日本では、専門管理会社を通じた家賃回収や資金管理がより標準化されている傾向があります。一方、フィリピンでは、オーナーや管理会社によって管理方法が大きく異なる場合があります。

6. テナントとのコミュニケーションとサービス
フィリピン
フィリピンでは、テナントが比較的直接的にさまざまな関係者と連絡を取ることがあります。
例えば、
オーナー
ブローカー
プロパティマネージャー
建物管理事務所
管理人
オーナー代理人
などです。
この方法は柔軟性がある一方で、誰が何を担当するか不明確な場合、連絡が複雑になることがあります。
プロフェッショナルに管理された物件では、以下を明確にすることが重要です。
修理依頼の窓口
修理承認者
緊急対応の担当者
建物管理との調整担当
契約更新の担当
退去立会い・敷金精算の担当
日本
日本では、専門管理会社がオーナーとテナントの間に入り、主な連絡窓口となるケースが一般的です。
管理業務では、テナント対応、苦情処理、契約管理、定期報告などが重視されています。
また、日本ではテナントニーズや生活スタイルの変化に対応するため、賃貸管理制度の見直しも進められています。
主な違い:フィリピンでは、テナントがオーナー、ブローカー、建物管理、管理会社など複数の相手と直接やり取りすることがあります。日本では、管理会社が窓口を一本化するケースがより一般的です。

7. フィリピンと日本の現在の賃貸市場環境
フィリピン
2026年のメトロマニラのコンドミニアム市場では、依然として競争の強い状況が続いています。
住宅空室率は高い水準が続いており、多くのコンドミニアム在庫が市場に残っています。
一部では吸収が改善しているものの、賃料は比較的横ばいで推移すると見られています。
そのため、オーナーにとってプロフェッショナルな物件管理の重要性は高まっています。
テナントが多くの選択肢を持つ市場では、
管理状態が良い
賃料が競争力のある水準
家具や設備が整っている
写真や掲載情報が分かりやすい
テナント対応が早い
といった物件の方が、より競争力を持ちやすくなります。
日本
日本では、賃貸住宅管理業法によって、賃貸管理業界の専門化・制度化が進んでいます。
テナントのニーズ、人口構造、ライフスタイルの変化に応じて、管理業務のあり方も継続的に見直されています。
制度面では、
契約内容の明確化
適正な管理
管理会社の責任
オーナー・テナント双方の保護
が重視されています。
フィリピンと日本の不動産:プロパティマネジメント比較
項目 | フィリピン | 日本 |
管理体制 | オーナー直接管理と専門管理の両方が一般的 | 専門管理会社の利用が広く普及 |
管理制度 | 契約、民法、建物ルール、関連規制に基づく | 賃貸住宅管理に関する専用制度あり |
家具 | 都市部では家具付き・半家具付き物件が多い | 一般的な長期賃貸は家具なしが多い |
メンテナンス | 契約や物件、管理方法によって異なる | 管理会社が調整するケースが多い |
家賃回収 | オーナー、ブローカー、代理人、管理会社など | 管理会社による集中管理が一般的 |
テナント対応 | 複数の窓口になる場合がある | 管理会社が窓口になるケースが多い |
書類管理 | オーナー・取引ごとの差が大きい | 専門管理下では比較的標準化 |
両国の不動産管理から学べること
フィリピンと日本では、法律、経済、文化、住宅事情が異なるため、一方の仕組みをそのままもう一方に当てはめることはできません。
しかし、どちらの市場からも学べる重要なポイントがあります。
責任範囲を明確にする
テナントが、
修理
支払い
契約更新
建物管理との調整
緊急対応
について、誰に連絡すべきかを明確にすることが重要です。
管理業務を記録する
以下の内容は、できる限り記録しておくことが望ましいです。
家賃
点検
修理
メンテナンス
テナントからの問い合わせ
費用
予防的なメンテナンス
問題が大きくなる前に、不具合を発見して対応することで、大規模な修理費用を防ぎやすくなります。
オーナーへの定期報告
オーナーは以下の情報を定期的に確認できることが理想です。
家賃状況
支出
修理
入居状況
テナントからの相談
プロフェッショナルなテナント対応
迅速で整理された対応は、テナント満足度の向上やトラブル防止につながります。
特に海外在住のオーナーにとって、体系的なプロパティマネジメントは物件所有をより管理しやすくします。
海外オーナーにプロパティマネジメントが重要な理由
海外で賃貸物件を所有することは、単にテナントを見つけるだけではありません。
フィリピンでも日本でも、長期的な賃貸管理には以下のような業務が含まれます。
市場に合った賃料設定
入居者審査
賃貸契約管理
家賃回収
メンテナンス
建物管理事務所との調整
家具・設備管理
定期点検
契約更新
退去対応
海外在住オーナーの場合、日常的な問題を遠隔地から対応するのは簡単ではありません。
信頼できる現地管理体制があることで、小さなトラブルが大きな問題になるリスクを減らし、テナントにも明確な連絡窓口を提供できます。
BedandGo Inc.によるメトロマニラの物件管理サポート
BedandGo Inc.では、メトロマニラで賃貸住宅を所有する国内外のオーナーをサポートしています。
プロパティマネジメントサービスには、以下が含まれる場合があります。
テナント対応
賃貸募集・契約調整
物件点検
メンテナンス調整
家賃管理
契約更新サポート
家具・備品チェック
建物管理事務所との調整
入居・退去対応
特に日本人オーナーや海外在住投資家にとって、現地のプロフェッショナルな管理サービスは、言語、商習慣、建物ルール、テナント対応の違いを埋める役割を果たします。
海外からメトロマニラの賃貸物件を管理していますか?
物件情報、現在の入居状況、管理上のお悩みについて、**BedandGo Inc.**までお気軽にご相談ください。
REB License No. 0005171
よくある質問
日本の賃貸管理はフィリピンより制度化されていますか?
一般的には、はい。日本には賃貸住宅管理業法があり、一定の管理会社には登録や管理業務に関するルールが定められています。フィリピンでは、オーナーによる直接管理から専門会社による管理まで幅があります。
フィリピンでは家具付き賃貸コンドは一般的ですか?
はい。特にメトロマニラでは、外国人や法人契約テナント向けに家具付き・半家具付きコンドミニアムが多く見られます。
フィリピンの賃貸物件では、誰が修理を担当しますか?
まず賃貸契約書を確認する必要があります。フィリピン民法では、契約で別に定められていない限り、物件を本来の用途に適した状態に保つために必要な修繕は、原則として貸主が行います。
フィリピンでは2026年も家賃規制がありますか?
はい。一定条件を満たす低家賃住宅については、2025年〜2026年の家賃規制が適用されます。
日本の賃貸管理会社は通常どのような業務を行いますか?
管理契約の内容によりますが、以下の業務が含まれることがあります。
物件メンテナンス
家賃・敷金管理
テナント対応
契約更新
入居・退去手続き
原状回復調整
海外オーナーにプロパティマネジメントが重要なのはなぜですか?
現地の管理担当者が、テナント対応、修理、建物管理、支払い、点検、契約対応を行うことで、オーナーが海外から日常業務を直接管理する負担を減らせるためです。
出典
フィリピン
フィリピン民法 — 賃貸契約および貸主・借主の義務
DHSUD / National Human Settlements Board — 2025〜2026年 Rent Control
Colliers Philippines — 2026年 Residential Property Market Report
JLL — Manila Residential Market Dynamics 2026
日本
国土交通省 — 賃貸住宅管理業法および関連制度
国土交通省 — 賃貸住宅管理業務・管理会社の役割
国土交通省 — 賃貸住宅管理制度に関する継続的な見直し




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